偏差値35 理社で自信を付けさせ66に
◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・親塾で「できるものから伸ばす」
・セオリー度外視 理社に3分の2
・作戦成功!総合偏差値17アップ!
・偏差値大幅アップを支えた3つの方針
・第1志望合格の原点は発想の転換
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★親塾で「できるものから伸ばす」
5年生女子。偏差値30~40台、中でも国語と算数は32。理科が42、社会が45でしたが、夏休み前の首都圏模試のトータルで偏差値は35。目を覆うばかりの成績です。
どこから手をつけていいものかと迷う親御さんでしたが、通塾を続けるとともに「親塾」を決意。子どもも「できるようになりたい」という前向きの姿勢を見せ、夏休み直前からスタート。親御さんが取った戦略は「できるものから伸ばす」でした。
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★セオリー度外視 理社に3分の2
まずは「国語と算数よりできる」という偏差値が40台の理科と社会に狙いを定めました。知識として知っていれば得点になるものを重点的に復習し、確実に得点を積み重ねられるようにしました。理科は生物、地学系を中心に進め、化学、物理系の計算が必要なものは無理せず基礎固めをしてできるところまででいいと割り切りました。
社会は白地図を毎日のようにやり、日本の国土がイメージできるようにし、「やませ」「輪中」「三角州」「カルデラ」など地理用語を徹底確認。1日1グラフを目標に雨温図、農作物の生産量都道府県ランキングなどを頭に入れました。
国語と算数はほったらかしかというとそうではなく、国語の漢字とテキストの音読、算数の計算と一行問題しと簡単な図形問題を時間を区切って取り組み、最低限全体から置いていかれないように心がけました。
勉強の割合として理社に3分の2、国算3分の1。中学受験のセオリーでは考えられない配分ですが、親御さんは夏休み中これを貫き通しました。
★作戦成功!総合偏差値17アップ!
「テスト(模試)で点数を“狙って”獲らせて、自信をつけてもらい、今後の受験勉強に弾みをつける」。苦手科目を何とかしようとする前に、得点しやすい、比較的できる科目の偏差値を「意図的に」上げて、子どものモチベーションにするという作戦は、成功しました。
9月の首都模試で理科は偏差値59、社会に至っては68までアップ。国語、算数も引っ張られるように偏差値32から上昇。国語43、算数は48に。総合で53となりました。ひと夏で偏差値が17もアップしたのは驚きの成果でした。理社はある程度感じていた親御さんですが、国語と算数も大きく上がったのは望外の「副産物」でした。
★偏差値大幅アップを支えた3つの方針
得意科目を中心に学習すると偏りが生じ、苦手科目にできなくなるという心配をされがちですが、得意科目であっても「きっちりやり切る」という姿勢で臨まなければ、中途半端な成績で止まってしまいます。集中特訓した理社はもちろん、国語と算数まで大幅にアップしたのは、学習に取り組む「姿勢」が変わり、やったことはきっちり「仕留める」ということの大切さを親御さんと伴走したことで子どもが肌で感じたからの賜物でした。
(1)習ったことは翌日必ず復習し、日を開けて必ず確認する(2)1回の量は多くなくても触れた内容に曖昧さを残さない(3)子どもと対話しながら出来の良しあしで感情をぶつけず、興味子どもの興味を重視し、親は突っ走らない――。この3点を基本にして「親塾」を進めたという親御さんの焦らず確実に力を付けるオリジナルの戦略が奏功した“ひと夏の経験”でした。
★第1志望合格の原点は発想の転換
通塾をメインにしながら、その後も「親塾」は続きました。得意の理社を伸ばし続けながら、成績が上がったことで関心が国語や算数にも行くようになった女の子は、授業への集中力も違ってきました。小テストや月例テストでも徐々に成績を上げ、5年の1月には総合偏差値60に到達。成績が足踏み状態になった時期もありましたが、6年生の夏休みに、今度は算数の図形問題を徹底的に鍛えたことで、11月の首都模試でついに総合偏差値66に。約1年半前32だった算数の偏差値は64と2倍になっていました。
入試では第1志望だった立教女学院に合格。親御さんは「理社に自信があったことと、算数での取りこぼしがなかったことが合格の要因。5年の夏に、自分のできるものから手を付けて点数を伸ばし、勉強自体を嫌いにならなかった、のが結果に結びついたと思います」と振り返っていました。
苦手科目克服に目が行きがちでですが、発想を換えて「できるものから」というのも受験勉強を継続していくのに「あり」の戦略なのです。(受験デザイナー・池ノ内潤)