それでも日大系中学の人気が落ちないワケ

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◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・日大理事、背任容疑で逮捕
・騒動も衰える気配なしの日大人気
・「基本問題を確実に」で「届く」
「間口が広く、懐も深い」進路
・「日大ブランド」そう簡単に崩れない

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日大理事、背任容疑で逮捕

 10月7日、日本大学医学部付属板橋病院(東京都板橋区)の建て替え工事の設計契約を巡り、東京地検特捜部は背任の疑いで同大の理事(64)ら2人を逮捕しました。報道によると、複数の会社を経由して同理事は少なくとも計約2500万円の利得を受けていたといいます。この金額は逮捕容疑のみで、恐らくそれ以上の金額が理事の懐に入っていると思われます。

 この理事は日大アメリカンフットボール部の悪質反則問題で2018年7月に理事を辞任しましたが、19年12月に日大の関連会社「日本大学事業部」(世田谷区)の役員に復帰し、昨年9月に日大理事にも再び選任されていました。

 パワハラにあたるような言動も関係者の証言から次々出ていますが、日大の「ドン」田中英寿理事長(74)の「側近中の側近」といわれており、いとも簡単に「復活」した背景は今さら説明の必要はないでしょう。

騒動も衰える気配なしの日大人気

 田中理事長の自宅も家宅捜索されるなど、日大トップの不祥事に学生たちの怒り心頭です。「高い授業料が、私腹を肥やすために使われていたと思うと腹立たしい」と憤り、3年生の学生はコロナ禍に加え、今回の騒動で就職活動への影響を懸念しています。

 しかし、捜査がまだ初期段階だからなのかもしれませんが、アメフットの騒動の時から比べると、今回の日大への世間の関心はそれほどでもない雰囲気です。コロナ禍、首相の交代に伴う総選挙に埋もれてしまって、一大学の汚職に注目はされていないようです。特に中学受験では今後、余程のことがない限りここ数年続いている「日大人気」は衰えることはないと予想できます。

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「基本問題を確実に」で「届く」

 中学受験での日大人気はいくつもの要因があります。主な理由としては「難易度」と「間口の広さ」が挙げられます。

 日大系の附属・準附属中学校は1都3県に計9校。北関東までエリアを広げると2桁に達します。しかし、飛び抜けて難しい上位、難関校はなくいずれも「中堅校」「一般校」の偏差値帯。中学受験のボリュームゾーンに位置していますが、受験へのハードルは、べらぼうに高いわけではありません。5年生からの中学受験参戦、あるいは6年生からでも「届く」難易度です。極端な話、日大系に的を絞って対策を立てれば、合格への道がかなりの確率で広がります。

 21年度に東京、神奈川、千葉の日大系9校で計511人の合格者を輩出した日能研でのR4結果偏差値(合格可能性80%)基に、第1志望の子が一番集まるとされる1回目の入試でみると一番高くて神奈川・日本大学中の50。基本問題を確実におさえていけば、合格圏に入る入試です。ただ、レベルは年々確実にアップしています。「昨年と同じレベル」では危ないかもしれません。併願校の選定、過去問の研究は入念にしたいところです。

「間口が広く、懐も深い」進路

 12歳の子どもにとって、まだ将来どうしたいのかが定まらない中で日本最多の16学部が揃っている日大は、将来の可能性の選択が広がるメリットがあります。

 前出の9校で見た場合、附属・準附属、日大への進学者割合はそれぞれ。一番多いところで日大一、日大豊山の70%強、少ない学校で30%程度です。日大進学もありですし、他大学へという道も選択しやすい環境です。附属の中には他大学受験、進学へのバックアップは期待できないところも多いのですが、日大系は概ね学校の先生も受験を応援してくれて、うまく先生と連携できれば、塾いらずで大学合格もあり得ます。進路に関しては「間口が広く、懐も深い」学校です。

「日大ブランド」そう簡単に崩れない

 日本一の学生数、OBが築き上げてきた信頼など「日大ブランド」は、そう簡単に崩れるものでありません。確かにあのアメフットの悪質タックル事件以来、イメージダウンはありますが、個々の学生やまして中高生が悪いわけではありません。今度こそ、日大の経営陣の刷新は必至。ここで変われないと評判は落ちますが、恐らく現体制とは別の流れが生まれることでしょう。

 今後、模試などで出てくる志願者動向などを見なければなりませんが、中学受験での「日大人気」は下火になることは考えにくく、22年度入試の日大系中学は志願者を前年と同程度かそれ以上集めると予想できます。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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