中学受験「奇跡の逆転合格」本当のところ

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「逆転合格」のベースになるもの
「切り取られる」合格までの経緯
「入試当日まで伸びる」は本当
「埋まらないピース」 に名コーチ

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「逆転合格」のベースになるもの

「3カ月で偏差値が20上がって第1志望に逆転合格」――。受験関連の塾や家庭教師の合格体験記などで、よく目に飛び込んでくる「奇跡」の成績アップの見出しです。

実際、本当にあった話でしょう。中学受験でそういう子も確かに存在します。存在しますが、誰もかしこもというわけではなく「レアケース」です。

レアケースだからこそ、ホームページやチラシの宣伝媒体の大見出しになるのです。塾や家庭教師派遣会社は「商売」ですから、消費者(受験生の親御さん)へのインパクトは必須です。

いろいろなケースがある「3カ月で偏差値が20上がって第1志望に逆転合格」ですが、確実に言えるのが、その子に偏差値爆伸び、逆転合格となる「学力のベース」が備わっていたということです。

どんなに優秀な、キャリアのある先生でも、学力の土台がある程度できていない子をここまで引っ張り上げることはできません。

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ベースがあったけれども、それが「つながらない」「解答力になるほどままっていない」状態だったのを、力量のある先生が「テコ入れ」することで「花が咲いた」のです。

知識と知識の回路がつながり、持っている「引き出し」をどう使うかを具体的に伝授してもらったことで、自分が積み上げてきたものを、偏差値、得点、そして合格という形で現すことができたのが「3カ月で偏差値が20上がって第1志望に逆転合格」の真の姿です。

「切り取られる」合格までの経緯

「学校別模試で偏差値40、E判定から最難関中学に逆転合格しました!」――。これも「受験あるある」です。

ただ、この受験生の合格までの過程の一部分が「切り取られて」の宣伝文句であるということが、本人の合格までの足跡からが浮かび上がってきます。

学校別模試は問題との相性がどうも合わず、算数で壊滅的な点数を取り、理社ではいつも通りも、国語でも手こずって…という模試が1回あっただけで、普段は常に偏差値65超で成績は安定している子を「逆転合格」扱いする塾や家庭教師派遣会社は少なくありません。

通常の模試がオーソドックスな問題をベースに、偏差値の開きを「演出」するため、問題に多少ひねりを加えたり、別角度から見たものを出題します。各塾や会社が6年後半になると月1で行う模試はねそういえ傾向で問題が出されます。

一方で「ひねり」や「別角度」を狙いすぎて、難問あるいはどの「引き出し」を使ってよいのか判断できない問題が出て、力が発揮できない子も多数いるのが「学校別模試」です。。

なので、「偏差値急降下」が1,2度あっても、長い中学受験の勉強の中では「そんなこともあったね」レベルの話。本来なら強調すべきものではありません。

が、それも教育産業から見れば強調すべき、素晴らしい「宣伝材料」。「我が子ももしかしたら…」という夢を抱かせ、受講者を増やすために利用するには「おいしい」素材なのです。そのあたりの「拝啓」は一般的には想像できない話で、親御さんが「逆転合格」を信じてしまうのも致し方ないのです。

「入試当日まで伸びる」は本当

では「奇跡の逆転合格」のすべてが誇張で、実は合格者のほとんどが「順当」合格なのかといえば、それも違います。

「間に合った合格」。これこそまさに「逆転合格」の代表格です。

中学受験のオープン模試はおおむね12月中に最終回が行われます。中には1月に行うものもありますが、母集団が少ないため成績、合格判定も「参考」レベルです。

受験生の中には最後の模試までに結果を出せず、偏差値、合格判定とも志望校に届いていない場合は多々あります。

それでもあきらめずに努力を継続し、「できる」を確実に、「できない」を「できる」に1つずつ積み重ねていった子が、入試当日に合格のボーダーラインを越える――。これが「逆転合格」です。

中学受験でよく言われる「実力は入試当日まで伸びる」は本当で、まさに「間に合い合格」がその典型的な例です。

神頼みや塾、先生頼みではなく、入試では「頼れるのは自分だけ」を自覚し、夏休みくらいからコツコツ頑張ってきた子が、当初の劣勢をひっくり返し合格する。もしかしたら「間に合い合格」は「逆転合格」ではなく、「順当合格」なのかもしれません。

「埋まらないピース」 にコーチ

その「間に合い合格」はギリギリで目標が見えてくるので、受験終盤の「寄り道」は避けたいところです。

受験生が一生懸命勉強する中で、パズルで言えば「埋まらないピース」が出てきます。独力ではどうにもならないと時に、塾の先生や家庭教師の力を借ります

合格への「最短距離」を見つけて、的確にアドバイスするとともに入試で通用する「自力解答力」の養成ができる先生が「名コーチ」です。

ただ、秋から冬にかけての時期に「埋まらないピース」を何とかするために呼ぶ「助っ人」が見つかるかどうかという問題があります。

任せて安心の力量のある家庭教師などは、早い段階でスケジュールがいっぱいで物理的に対応できない場合があります。教育産業界の中で「名コーチ」といえる人材はせいぜい2割から2割5分程度なので、くれぐれも「迷コーチ」をつかまない(つかませられない)注意が必要です。

一番怖いのが「奇跡の逆転合格」を「丸投げする」親御さんの姿勢です。これが「迷コーチ」との遭遇の機会を増やします。

個別塾でも、家庭教師派遣会社でも「コマ数」(受講数)の大幅な増加を提案してくる場合は、立ち止まってよく考えます。「コマ数」=「実力アップ」にはつながらないからです。むしろ復習、自力解答養成の時間がつくれないため、塾と家庭教師で「満タン」は絶対回避です。

状況が難しい場合は「逆転合格」より、現状に合った中学受験に切り替え、入学後にリスタートです。「身の丈に合った」中学でも「6年後」の逆転は十分可能です。どの中学に入ったかを気にするのは一瞬。入学後はゼロから一斉スタートです。

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