公立中学へ行かない、中学受験をする3つの理由

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厳しい現実もあるのに中学受験
「環境」目を引く中学受験
・「リスタート」できる中学受験
・「撤退」が難しい中学受験

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厳しい現実もあるのに中学受験

 遊びたい気持ちを抑えて勉強しても、第1志望合格は3割弱という厳しい中学受験。それでも地元公立中学を選択しないグループが一定数するのはなぜでしょうか。 

 中学受験を経験した親御さんの話に耳を傾けるとまさに十人十色。さまざまな答えが返ってきますが、大別すると「環境」「子どもの性質」「引くに引けなかった」という3つの理由が多く聞かれました。 

「環境」が目を引く中学受験

 中学受験をした家庭が言う「環境」とは、「学校の施設や行事」「学習カリキュラム」など広範囲にわたります。 施設費や施設拡充金などの名目で毎年高額の集金をしている私学は、やはり「充実」しています。顕微鏡など理科室の実験器具、ノートパソコンやタブレットなどは当たり前に授業で使います。冷暖房完備の体育館が複数、大小2つの講堂はコンサートも可能な音響施設を備えていたり、講演会なども毎月のように行われます。人工芝のグラウンドは照明塔付き、室内プールなど、公立の「環境」とは大きく違う「充実の施設」を学校見学で目の当たりにすると、「わが子をこういう環境で」と、親御さんは「熱い視線」になります。 

 学習面では大学進学へ向けて、「塾いらず」をキャッチフレーズに先取り学習や補習・講習を展開。グローバル(英語)教育ではネイティブによるオールイングリッシュの授業に、ICT教育など「至れり尽くせり」です。さらに大学附属だと、普通に6年間を過ごせば、ほぼもれなく大学が保証されるという「特典」が付きます。進学校系でも豊富な推薦枠を持っており、海外大学進学についても「手厚い指導」を売りにしている学校も目立ちます。 

 入学してみると「最初の話と少し違う」という面もありますが、全体的には公立中学をはるかにしのぐ「学習環境」が整っており、「面倒見の良さ」は、概ね評価されています。多額の学費を支払ってもらっている以上「やることはやる」という姿勢は私立の中高一貫校からは感じられる姿勢です。

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「リスタート」できる中学受験

 「子どもの性質」を考慮して中学受験に舵を切る親御さんもかなりいます。公立中学に比べ、私立中高一貫校はおとなしい性格、人との交流が苦手、趣味が「オタク」系などの子が多い傾向であるのは確かです。 

 小学校では友達付き合いが苦手で「ぼっち」(独りぼっち)だった子も、中高一貫校では「居場所」が見つかることが多いようです。数も多くバラエティーに富んだ部活動を通して、生涯付き合える友人を得ることもあります。地元公立中学からだと小学校時代の関係が変わりませんが、私学はそれが一度クリアになります。「リスタート」という意味では私立進学は意味があります。 

 実技教科が苦手な子は公立中学に行くと肩身の狭い思いをするのは今も昔もあまり変わりません。特に男子で体育が不得手、という子は「いじり」や「いじめ」のターゲットにされやすいというのは現実です。一方で中高一貫校の体育は「参加することに意義がある」という感じで、毎回授業に出ていれば10高い評価で10や9が付きます。主要教科で忙しい生徒が運動不足にならない程度に、といった具合で苦手な子の心理的不安にはならないようです。

「撤退」が難しい中学受験

 傾注してきた時間と労力、つぎ込んできた金銭などを思えば、簡単に「撤退」という選択肢を選べないのも中学受験です。 誰でも一度や二度考える「撤退」ですが、結局、判断が先延ばしになり、不安を抱えたまま受験本番へ。受験が終わり、冷静になって振り返ると「あれは何だったのか」と、ふと考えます。

 「中学受験は始めるのは簡単だが、やめるのは難しい」と、経験者の親御さんは語ります。その言葉の本当の意味が受験が終わってからようやく実感する家庭が多いようです。 

 私学が全て良いわけではありません。むしろ「話と違う」「聞いてない」ということも6年の間に多々あります。何が何でも中高一貫校、ではなく子どもの希望を第一に、「参戦前」も「参戦中」もさまざまな角度から受験を検討する必要があります。(受験デザイナー・池ノ内潤) 

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