志望校対策講座が「有効」になる子、ならない子
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・奇跡を起こす講座ではない
・逆転より「まさか」が多い
・勝負は1年前から
・「地図」を描けるかがカギ
奇跡を起こす講座ではない
各進学塾では9月から、学校名を冠した「志望校対策講座」が本格的に始まります。
入試まで残り半年を切り「ここからの追い込みで逆転合格を」と期待する家庭も少なくありません。
しかし、20万円前後の費用を払えば奇跡を起こしてくれる特別講座ではありません。
志望校対策講座が最も力を発揮するのは「合格圏にいる子をより確実に合格へ導く」「ボーダーラインの子を一段上のステージへ引き上げ、合格圏に近づける」ケースです。
学校ごとの出題傾向を分析し、頻出分野、時間配分、答案のつくり方などを磨く。つまり、それまで身につけてきた学力を「その学校の入試で得点できる力」に変換する場所と考えた方がいいでしょう。
逆に、9月時点で基礎力に不安があり、志望校受験者の水準に届いていない場合、講座を取っただけで一気に差を埋めるのは至難です。
志望校対策は「厳しい状況から一発逆転を狙う講座」ではなく、「持っている力を志望校仕様にカスタマイズしていく」講座です。
逆転より「まさか」が多い
志望校別講座には、塾ごとに「伝説」のように語られるものがあります。
成績順に座席が決まる講座なら「前2列に常にいる子は、ほぼ落ちない」、複数クラスなら「最上位クラスなら9割、一番下は1人いるかどうか」といったものです。
簡単に言えば、逆転合格はレアケースで、多くが順当に合格するということです。
もちろん、秋以降に大きく伸びる子はいます。逆に「まず大丈夫」と思われていた子が本番で力を発揮できないこともあります。
ストーリーとしては、逆転合格の方が劇的で、受験家庭の希望の灯になります。しかし、実際はまさかの不合格を目にすることの方が多いのが冷厳な事実です。
秋以降に伸びて逆転合格する子を見ると、夏以前から(遅くても6年生のゴールデンウイーク前くらいから)苦手克服や得意分野の強化など、何らかの「手を打ってきた」ケースが目立ちます。
志望校対策講座の大きな価値は、同じ学校を目指す仲間と競いながら、自分の立ち位置を確認できることにあります。
過去問や類題を繰り返し、合格者が取る問題を落とさない。時間内に答案を完成させる。弱点を最後まで修正する…。「受かりそうなレベル」を「受かるレベル」に変える。それが志望校対策講座の真骨頂です。
勝負は1年前から
では、6年秋の志望校対策講座を「有効」にするためには、いつから準備すればいいのでしょうか。
私は5年秋あたりを一つの目安と考えます。
この時点ですでに好成績なら、自分のペースを崩さず、成績を安定させながらブレない実力を養成していきます。
一方、志望校の水準に届いていない、算数の特定単元が弱い、語彙や漢字が不足している、理社の知識に穴がある――。そうした「気になるところ」があるなら、日々のカリキュラムと並行して少しずつ潰していきます。
その時間を比較的取りやすいのが5年後半からの取り組みです。
6年前半ならまだ修正可能ですが、苦手克服や基礎完成には時間がかかります。
入試直前に間に合うかどうかになる子も多く、そうすると親子とも精神的にキツい状況になります。
1年後の志望校対策から逆算して、5年秋から学力を整えていく。
この発想が、直前期の親子の余裕にもつながります。

「地図」を描けるかがカギ
志望校名のついた冠講座に入れない、あるいはそもそも志望校の冠講座がない場合、「難関校対策」「上位校対策」などの講座を勧められます。
中学入試でよく問われる分野を広く復習できるため、基礎力・応用力の養成という意味では効果が期待できます。
ただし、それがそのまま「わが子の志望校対策」になるとは限りません。
それぞれ志望校が違えば、学校固有の出題傾向まで細かく対応するのには限界があります。
出題に特徴のある学校なら、一般的な対策より、過去問を分析して「その学校で必要な基礎力」を徹底する方が有効な場合があります。
問題は、それを子どもだけで組み立てるのが難しいことです。
家庭教師、個別指導、親のサポートなど方法はいくつかあります。
しかし6年秋になって慌てて探し始めても、子どもとの相性やそれに対応してくれるかまで含め、最適な環境がすぐ見つかる可能性は高いとは言えません。
直前期になって「困った、どうしよう」ではなく、受験ロードマップを描いておくことが有効になります。
中学受験では、子どもの学力とともに、「目的地=志望校」と「そこへどうたどり着くか=学習の進め方」を描いた家庭の「地図」が、最後にものを言います。
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