「大学附属はエスカレーター」の落とし穴

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親心からの大学附属校選択 
企業の評価が低い「附属上がり」   
・要領の良さより愚直さ、挑む気持ち   
・厳しい体育会系学生の就職 
・附属出身を大いに生かすには 

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親心からの大学附属校選択 
 「エスカレーター式に大学へ進めるから」。中学受験で有名私立大学の附属校、系属校 志望する子どもの親御さんの多くは、進学理由としてこの言葉が多く聞かれます。 

 早慶ならほぼ100%(早稲田、早稲田佐賀などを除く)、「MARCH」と呼ばれる、明治や中央、法政などで80~90%、附属、系属校の多い日本大学系で5割前後が推薦で大学へと進学、高校受験もない子どもは、本格的な受験体験は中学受験のみ、ということになります。 

 高校、大学受験の苦労をさせずに大学へという親心からの選択で、子を思う親の気持ちが痛いほど伝わってきますが、これが子どもの人生にとって「落とし穴」になることがあります。 

★企業の評価が低い「附属上がり」 
 極端なことを言えば、附属校にいる限り、成績が「中の下」程度でも、学部がどこでもよいというなら大学へ進めます。さらに下位でもよほど素行が悪いか、留年しなければ(留年しても翌年なんとかなれば進学できる)“次の階”へと上ることができます。そして、大学院などへ進まなければ、通常は4年後に就職です。 

 ここで附属校出身の学生は“試練”を迎えます。最近は学生を新卒で採用する企業の多くが、「どこの大学か」よりも「どこの高校を卒業して、どのようにして大学に入学したか」を見ます。 

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 一番ポイントが高いのが「難関私立やトップの公立高校を卒業し、受験をして難関大に進学」したカテゴリーに属する学生。対照的にポイントが低いのが「中学受験をしてエスカレーター式に附属校から進学」した学生となっています。「附属上がり」は書類選考、面接時に評価が高くない、というのが現実です。 

★要領の良さより愚直さ、挑む気持ち 
 企業で採用担当をした経験から言いますと、理由の1つが「難しい局面をどう切り抜けるか」の術に期待があまり持てない、ということが挙げられます。附属出身の学生すべてがあてはまる、というわけではありませんが、高校、大学受験を成功させた経験のある学生は、独自の“困難対処マニュアル”のようなものを内に持っているケースが、附属でエスカレータ式に進学した学生よりも多いのです。残念ながら中学受験は親主導の受験という見方をされ、御三家当たり出身でないと企業は興味を示してくれません。 

 仕事をするようになると、順風の時は誰がやっても大抵うまく事が進むものですが、トラブル発生時やトライが必要な仕事に直面した際、どう切り抜けるか、どう進めていくか、という独自の思考力と行動力がないと、解決できないことが多くなります。上司の判断、先輩らの助言などももちろん大きく影響しますが、それだけではなく本人の問題に対する対処力が問われるのです。 

 附属出身の学生は「要領がいい」子が多いのが1つの特徴です。普段は遊んでいながらも、定期試験前になると情報を収集し、短期間でそれなりの点数を獲って成績に結びつけて進級、進学するのが典型的です。大学でも附属ネットワークが生かされ、それほど困難に直面することはありません。 

 仕事で要領よく、というのは必要な要素です。ですが、厳しい場面では要領より、愚直さだったり、挑む気持ちがないと突破口が開けないことが多々あります。企業は要領の良さや性格の明るさ以上に、そういうところを求めています。 

厳しい体育会系学生の就職 
 「中高大と10年間、野球一筋で頑張ってきました」。附属出身者の中には入学試験がない分、一つのことに打ち込んできた学生もたくさんいます。体育会出身は連綿と続く、先輩たちの引きで就職も申し分ない、という時代があり、今でも生きているところはあります。しかし、最近はそれだけで安泰、という状況ではありません。 

 かつて「企業の広告塔」としてスポーツに力を入れてきた時代もありましたが、一部のプロ契約選手を除いて、運動一筋で食べていけることは少なくなりました。社会人野球でも廃部、統合が相次ぎ、今残っているチームでも野球部員は契約社員だったり、子会社の所属だったりと、本社が採用していてくれた時代は過去のものになりつつあります。 

 まして学生時代にスポーツでそれほどの成績も残さなかった学生ならなおさら。勉強もせずにボールを投げたり、蹴ったりしていただけでしょ、という非情な評価です。体育会系の学生と言えども、大学できちっと勉強し、これだけの貢献ができますというアピールができないと、ブラック企業で体力勝負、根性勝負の仕事をするしか術がなくなります。 

★附属出身を大いに生かすには 
 附属のブランドは、家業を継ぐとか起業するという場合に生きてきます。家業を継ぐのに経営者のプロフィールというのは意外と大事で、気にしていないようで「どこの大学を出ている」とかを世間は注目しています。有名大出身だと、決してマイナスにはならず、「つかみはOK」ということになる可能性が高いです。

  遊んできたことや附属人脈を生かしての起業も向いています。受験に縛られず自由に中高大と生きてきた中で培われた「何が面白いのか」という感覚は、既存の企業にない発想で新事業を立ち上げるきっかけになると思います。いい意味での「怖いもの知らず」というのも、若いうちは勢いとなって起業するという気持ちを後押ししてくれます。

 試験結果で決まる公務員も附属かどうかなとは問われません。ただし、最近の厳しい労働環境から、今や高給取りとなった公務員は大学入試を突破するよりはるかに難しいです。附属にいながらもコツコツ勉強を続けてきた子以外は、勉強体力、勉強習慣とも欠けているだけにいばらの道かもしれません。 

 附属で進学の心配がないからと、学びの姿勢を崩さず、受験勉強の代わりに語学のレベルを「ペラペラ」レベルまで磨いたり、経済でも法律でも社会学でも先んじてきちっと勉強してきた学生なら企業も大歓迎です。法曹関係など専門家にもなれます。附属へ進んだからこそ、学びの速度を緩めず前に進んでほしいと思います。(受験デザイナー・池ノ内潤) 

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